文章を書いていると、つい何度も使ってしまう言葉のひとつが「また」という便利な接続語ですが、繰り返し使うと文章が単調になったり、幼く感じられたりすることもあります。
特にビジネスメールや論文など、きちんとした文面では言い換え表現を知っておくと印象がぐっと変わります。
この記事では、「また」の意味や使い方を整理しながら、丁寧・カジュアル・ビジネスのシーン別に使える言い換え表現をわかりやすく紹介します。
自然で伝わりやすい文章を書くための参考にしてください。
「また」の基本的な意味と使い方
「また」はどんなときに使う言葉?
「また」は、日本語でとてもよく使われる言葉のひとつです。
主に「同じように」「さらに」「別のことを示す」などの意味を持ち、文と文を自然につなげる働きをします。
たとえば、「A社は売上が伸びた。また、B社も好調だ。」というように、前後の内容を補足的につなぐときに使われます。シンプルで便利ですが、その汎用性ゆえに多用しやすいのが特徴です。
「また」の種類(接続詞・副詞)の違い
「また」は文法的に見ると、接続詞と副詞の2つの使い方があります。
- 接続詞のまた:文と文をつなぐ(例:「彼は優秀だ。また、人柄も良い。」)
- 副詞のまた:同じような事柄を繰り返す意味(例:「彼はまた来た。」)
文章表現を整える際に注意すべきなのは接続詞としての「また」です。
ビジネス文やレポートなどでは、連続して「また」を使うと単調に感じられやすく、文のリズムが崩れがちになります。
「また」を使いすぎると文章がどうなる?
「また」を多用すると、文章の印象が重く、機械的に感じられてしまいます。
たとえば、
「この企画は新しい。 また、コスト削減にもつながる。 また、顧客満足度も高い。」
という文では、単調でテンポが悪くなります。
このような場合、「さらに」「一方で」「加えて」「そのうえ」などを使い分けると、流れに変化が生まれ、読みやすさが格段に上がります。
文意に合わせた言い換えを選ぶことが、文章力アップの第一歩です。
「また」の言い換え一覧【丁寧な表現】
ビジネスメールで使える言い換え
ビジネスメールでは、シンプルな「また」をそのまま使うよりも、文の目的に合わせた表現を選ぶと印象が格段に良くなります。
たとえば以下のような言い換えが自然です。
言い換え表現 | 使える場面 | 例文 |
---|---|---|
さらに | 情報を追加するとき | 「さらに詳細をお伝えいたします。」 |
加えて | 補足説明をする時 | 「加えて、次回のスケジュールもご確認ください。」 |
併せて | 複数の項目をまとめて伝えるとき | 「併せてご確認のほどお願いいたします。」 |
そのうえ | 丁寧かつ少しフォーマルな印象 | 「そのうえ、顧客満足度も高く評価されています。」 |
どれも「また」の代わりとして自然に使えますが、文全体のトーンに合わせて選ぶことが大切です。
目上の人に使える上品な言い換え
上司や取引先など、目上の相手に対しては、直接的な表現を避けて柔らかい接続語を使うのがおすすめです。
特に「なお」「ちなみに」「その際には」などは、文の流れを損なわずに上品にまとめることができます。
- 「なお、次回の打ち合わせは○日に予定しております。」
- 「ちなみに、前回のデータは更新済みです。」
- 「その際には、担当者へご連絡をお願いいたします。」
こうした表現を使うことで、読み手への配慮や文面の丁寧さが自然に伝わります。
丁寧な印象を与える例文集
最後に、実際のメール文を想定した例文をいくつか紹介します。
- ✕:また、今後の予定についてご連絡いたします。
- 〇:併せて、今後の予定についてご連絡いたします。
- ✕:また、詳細は別途お送りします。
- 〇:加えて、詳細は別途お送りいたします。
- ✕:また、ご不明点がありましたらご連絡ください。
- 〇:なお、ご不明点がございましたらご連絡ください。
同じ意味でも、言い換えるだけで印象が柔らかく、信頼感のある文章になります。
「また」の言い換え一覧【カジュアルな表現】
日常会話で自然に使える言い換え
日常的な会話やカジュアルな文では、「また」よりも軽い響きの言葉を使うと、柔らかく感じられます。代表的なものは以下の通りです。
言い換え表現 | ニュアンス | 例文 |
---|---|---|
それから | 話題を続けるときに自然 | 「それから、昨日の映画の話なんだけど…」 |
あと | 親しい関係での会話にぴったり | 「あと、宿題もやらなきゃ!」 |
そして | 物語や説明文で流れをつなぐ | 「そして、ついに完成したんです!」 |
そのあと | 時間の流れを示す | 「そのあと、みんなでご飯に行った。」 |
これらの表現は、文を自然につなぎながらも、堅苦しくない印象を与えます。
SNS・ブログ向けのやわらかい表現
SNSやブログでは、読者との距離を近く感じさせる表現が効果的です。「また」を使うよりも、テンポよく読める接続語を選ぶと、文章にリズムが生まれます。
- 「それに、このカフェの雰囲気も最高なんです!」
- 「しかも、値段が意外とお手頃!」
- 「おまけに、デザートまで絶品でした!」
「それに」「しかも」「おまけに」はいずれもポジティブな印象を強調する言葉です。特にレビュー記事や体験談では効果的に使えます。
友達・同僚との会話で使える例文
カジュアルな文では、堅い接続詞よりも、自然な言い回しを取り入れることで親しみやすさが増します。
- ✕:また、今度ランチ行こうね。
- 〇:今度さ、ランチ行こうね。それから映画も見たい!
- ✕:また遊びに来てね。
- 〇:今度も遊びに来てね!楽しみにしてる♪
- ✕:また来週会いましょう。
- 〇:じゃあ、来週また会おう!
このように、「また」を残しても、文の位置やトーンを変えるだけで、より自然でフレンドリーな印象になります。
「また」の言い換え一覧【ビジネス・論文向け】
報告書・企画書で使えるフォーマル表現
ビジネス文書では、「また」をそのまま使うと少し軽く感じられる場合があります。特に複数の項目を並べるときや、論理を明確にしたいときには、以下の表現が効果的です。
言い換え表現 | 主な用途 | 例文 |
---|---|---|
さらに | 内容を補足・拡張したいとき | 「さらにコスト削減の可能性も見込まれます。」 |
加えて | 複数要素をまとめるとき | 「加えて、品質向上への取り組みも進めています。」 |
一方で | 対比や比較を示すとき | 「一方で、リスク面にも注意が必要です。」 |
同様に | 類似する内容を示すとき | 「同様に、第二チームでも成果が見られます。」 |
これらは「また」と置き換えるだけで、論理構造が明確になり、読み手に伝わりやすい印象を与えます。
論文・エッセイで使える堅めの表現
論文や研究レポートでは、「また」は論理的接続の一部として頻出しますが、文章が単調になる原因にもなります。文脈によって以下のように言い換えるのがおすすめです。
言い換え表現 | ニュアンス | 使用例 |
---|---|---|
さらに | 内容を強化・追加 | 「さらに、この結果は先行研究とも一致している。」 |
加えて | 事実を積み上げる | 「加えて、異なる条件下でも同様の傾向が見られた。」 |
または | 選択肢を提示する | 「AまたはBの手法を用いることができる。」 |
なお | 補足情報を簡潔に提示 | 「なお、この数値は概算値である。」 |
文体を引き締めたい場合、「また」は避け、「さらに」や「加えて」を意識的に使うことで、論理性と説得力が高まります。
「また」「一方で」「さらに」の使い分け
フォーマル文では、この3語の使い分けが非常に重要です。
以下の早見表を参考にしてください。
表現 | 主な用途 | 意味・使い方 |
---|---|---|
また | 補足・追加 | 「Aである。また、Bでもある。」(基本的な追加) |
さらに | 強調・発展 | 「Aである。さらに、Cの傾向も見られる。」(深める) |
一方で | 対比・逆接 | 「Aは良い結果を示した。一方で、Bは低下した。」(反対方向の内容) |
文脈に応じてこれらを使い分けることで、文章の構造がより明確になり、読む人に「知的で整理された印象」を与えられます。
「また」を自然に減らす文章の書き方
「また」を使わずに文をつなぐコツ
「また」は便利な接続語ですが、使いすぎるとリズムが単調になります。そこで意識したいのが、「文の構造でつなぐ」という考え方です。
たとえば次のように書き換えるだけで、接続詞を省いても自然に読めます。
- ✕:「この商品は人気が高い。また、コスパも良い。」
- 〇:「人気が高く、コスパも良い商品です。」
- ✕:「彼は英語が得意だ。また、プレゼンも上手だ。」
- 〇:「英語もプレゼンも得意な彼は、チームの中心的存在だ。」
つまり、「また」を使う前提で考えず、文をまとめたり、語順を入れ替えたりすることで、スッキリとした印象に変えられます。
接続語を整理してスッキリ見せる方法
文章が長くなったり、論点が多いときは、「また」だけでなく他の接続語も整理してみましょう。以下のように、目的に応じた表現を選ぶのがコツです。
目的 | 適した接続語 | 例文 |
---|---|---|
補足・追加 | さらに/加えて/そのうえ | 「さらに新機能を追加しました。」 |
対比 | 一方で/しかし/ただし | 「一方で、コスト面の課題もあります。」 |
まとめ | 以上のように/このように | 「このように、顧客満足度の向上が見込まれます。」 |
「接続語を必要最小限にする」だけで、文章のテンポが良くなり、読みやすさもアップします。
実例:ビフォーアフターで見る改善例
最後に、「また」を多用した文章と、それを自然に改善した例を比較してみましょう。
ビフォー(修正前)
このサービスは安い。また、使いやすい。また、サポートも充実している。
アフター(修正後)
このサービスは安くて使いやすく、サポートも充実しています。
ビフォー(修正前)
彼は営業力がある。また、人間関係を築くのも得意だ。
アフター(修正後)
営業力に加え、人間関係を築く力にも優れています。
このように、「また」を削ることで文章がスッキリし、自然なリズムになります。言い換え表現を覚えるだけでなく、「使わない工夫」を意識すると、文章力がぐっと上がります。
まとめ
「また」はとても便利な言葉ですが、使いすぎると文章が単調になったり、印象が軽くなったりします。そこで大切なのは、「丁寧・カジュアル・ビジネス」といった場面ごとに、最適な言い換え表現を使い分けることです。
たとえば、ビジネスでは「さらに」「加えて」「なお」、カジュアルな場面では「それから」「あと」「しかも」などが自然に使えます。
また、そもそも接続語に頼らず、文の構造を工夫することで、よりスッキリとした印象の文章にもできます。
「また」を上手にコントロールできるようになると、文全体のリズムが良くなり、相手に伝わる力が格段に上がります。今日紹介した言い換え例を意識しながら、ぜひあなたの文章にも取り入れてみてください。